「わからないんだったら順番に付き合えばいいかな…って思ったんだ。ダメ?」
遥は全員に向かってニッコリ微笑んだ。
湊と響がその提案を却下する事など出来ない。
「兄ちゃん、見守る会の会員は全部で何人いたの?」
「女もいるけど」
「構わない。みんなと公平に付き合ってみる。」
「遥、勉強は…大丈夫か?」
「なんとかしてよ、兄ちゃん」
湊は責任の一端を感じ、不承不承首を縦に振った。
「遥」
それまで黙って聞いていた航は瞳の奥に怒りを宿した表情で、爆発させるのを耐えながらも遥に問う。
「俺は、何なんだ?遥を想って、やっと叶ったら何もしないうちに振られたのか?」
遥が少し怯む。
「ごめん。航に初めて抱かれたから、セックスが気持ちいいってなるのは好きだからなんだと…ってさっき言ったの、聞いてなかったの?」
「違う!遥は俺の何を好きだと感じたのか聞いてるんだ。」
遥は返答に窮した。
「…だから…それがわからないんだろ?」
湊が航に向かって口を開いた。
「遥には好きって感情が分からないんだよ。」
航は大きく肩を落とし、落胆した。
「そのプロジェクト、俺は外してくれ。」
言うと立ち上がり、部屋を後にした。
遥の心が、ちくりと痛んだ。
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