「と言うことで、潤はない!」
湊は自信満々で宣言した。
「潤がないって、潤は遥を好きじゃないってことで、遥が潤を好きってことはあるんじゃないかな?」
湊も響も、勉強はできるけど恋愛に関しては全くとんちんかんになってしまう。
「…航にきいてこようか?」
結局、遥を守る会は二人になっていた。
「珍しいな、響が電話なんて。…まあ、また遥関係だろうけどな。」
響は航が苦手だった。中学時代は響より全然成績が良かったのに、わざわざ最低ランクの高校に通っているのがまず気にくわない。…遥を手込めにしたのも気に入らない。
「そーだよ。遥の好きな奴って誰だよ?」
「そんなことか。オレに決まってんだろ?いくら遥ちゃんが好きな人を想ってもダメだよ。必ず最後はオレの腕の中に落ちるよう、世界は回ってんだよ。」
最後に小さくフッと笑う声がした。
「なんで…」
「オレがそう決めたから。だいたい湊さんも響も、すぐそばにいてオレより有利な条件なのに、なんで落とせなかったんだよ。アホなんじゃないか?遥ちゃんほど単純な人間は他にいないしな。」
「航…お前にだけは絶対、渡さねーよ!」
プッ
勢いで電話を切ったが、なんの手だてもない。結局遥の想い人も分からず終まいだ。
「航の好きにはさせない…」
そのころ、遥は必死で数学の問題と挌闘していた…中三問題集だが…。
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