| 響の言いたいことは分かる。 遥だって身体が疼いて仕方ないから航との逢瀬を繰り返している。
 大体、どこから響を嫌いになったんだろう。
 「遥、気を付けて帰れよ」
 背後で航が手を振っている。響がなにかするとは思っていないらしい。
 「本当に、航と寝てきたのか?」
 響が単刀直入に聞いてきた。
 「えっと…」
 正確に言うと、今日のところは未遂だ。二人とも金銭的に余裕がなくてラブホに入れなかったのだ。
 「何回?」
 「僕とは一回なのに…好きな奴って誰?航じゃないのにどうして航とだけ寝るの?僕だって湊だっていいじゃないか!」
 「別に…響でも構わないんだけどさ、響は必死こいてるからなんか楽しくないんだもん。気持ち良かったけど。」
 そうだ、響に嫌悪感を抱いたのは、いつでも遥の隣でべたべたするからだ。
 「遥は好きな人が見つかって、僕たちはただ黙って振られてろっていうのか?」
 響が遥の手を引いたまま、とあるマンションの入り口に着いた。
 「遥を抱く」
 そう言うとエントランスで暗唱番号を入力してドアを開けた。
 「なに?ここ。」
 「従兄弟のマンション。たまに借りてる。」
 エレベーターは七階で止まった。
 「ヤだ、響やだよ。」
 「なんでだよ?航の感触がまだ残っているのか?航が好きなのか?」
 「違う、違うんだ!んんっ」
 響に唇を塞がれた。
 遥の頭はぼーっとしていた。
 しかし身体は無条件に反応していた。
 「イヤだよ、イヤなんだ…」
 遥は自分の無節操に腹が立った。
 「ん…」
 それでも響は止めなかった。
 身体を繋いで激しく揺さぶる。
 「や、あっ、ダメ…壊れる」
 遥が喘ぐ。
 「壊れて良いから、僕だけのものになっちゃえよ。」
 「イヤ、イヤぁ…ふあ…」
 急に力が抜け、遥の身体が弛だんした。
 「あ…あ…」
 惚けたように目が虚ろだ。
 「ヤだ…中でイっちゃったよ…やだぁ…完全に女じゃないか…ヤだよ…」
 イヤだを繰り返す。
 響は遥のまだ弾けていないそれをそっと握り、ゆっくり手を動かした。
 「キャー触らないで、出ちゃう、出ちゃうよー」
 言いながら遥は射精した。
 
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