| 帰り道。 航は、遥の好きな人は響だと思っていた。
 「実はさ、中学の時から響は遥にちょっかい出しそうな勢いだったから、牽制したんだ。途中から遥も響狙いかなーって。違うのか?」
 「違う!オレは…」
 言い掛けて戸惑う。
 「多分…なんかわかんなくなってきた。あんなに悩んだのに…」
 「…いったい、遥ちゃんが好きだと思った人は誰だったの?」
 潤がさり気なく振る。
 「…猿渡先生」
 「おー」
 「あー」
 二人とも納得の声をあげた。
 「大人だし、知らないことを教えてくれるし…だね?あ、だから勉強頑張ってたんだ。」
 「うん。だけど正直なところそんなにどうしても一緒にいたい…ってこともないんだ。ただ単に…その…騒動から逃れたかったのかも知れない。毎日色々言われるのイヤだし…航と気持ち良くセックスできれば満足だし…付き合うって思ったんだから、航のことは嫌いじゃないし。ただ兄ちゃんがなー」
 ごほん
 わざとらしい咳払いをひとつ…潤だ。
 「その…湊さんだけど…僕が何とかするよ」
 「え?」
 「え!」
 同時に驚きの声が上がった。
 「後一息だと…思う」
 「よっしゃ!」
 「じゃあ…」
 航が口を開く。
 「響、なんとかしようか、僕が。」
 「ううん、大丈夫。オレがちゃんと話し合うから。」
 …不安な色が漂っているが…
 
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