「…やっぱり、遥の好きな人って航なのか…」
響が小さくため息をついた。
遥の部屋で響と待ち合わせしていたのに、航を連れて帰ってきてイチャイチャしていたのだ。
遥は航から慌てて離れて身繕いをした。しかし航は平然と遥の腰に腕を回している。
「違ったんだ、ついさっきまでは。だけど考えたら航とのセックスは気持ちいいんだもん…響のセックスは痛いからつらい。」
「それは、経験の差だよ。もっと一杯愛し合ったら良くなるから。」
遥は俯く。
「航から聞いた。響はずっとオレのこと好きでいてくれたんだ、ありがとう。航がオレにコクれないような工作をしたらしいけど、どうして直接言ってくれなかったんだよ。」
響はズボンの布地を握りしめた指が白くなっている。
「…遥は気持ち悪く思うんじゃないかって…あの頃、女の子の話ばっかりしていたじゃないか。だから遥は女の子が好きなんだって思ってた、好きだなんて言ったら気持ち悪がられて友達でさえいられなくなりそうで…」
「遥!」
…手遅れだった…
航と潤が感じた不安は的中したのだ。
遥はすっかり響に同情していた。
「わかった。オレ、努力するよ!勉強も頑張るし、二人とも付き合う!しばらくは二股になるけどごめん。」
航は響を殴り倒したい衝動に駆られていたが我慢した。
五年間の苦労が今泡となったのだ。
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