第三十九話  日替わりの恋人
 遥が提案したのは日替わりの恋人だった。
 偶数日が航、奇数日が響。ただし31日はなし。
 その日に会えなかったらそれまで。
 逆に恋人の日じゃない日に例え遥の身が暇であっても恋人にはなれない。
 航は不承不承承諾した。
 響は嬉々として承諾した。


 1ヶ月後。
「はあ…」
 遥の表情が沈んでいる。今日は月初めだ。
「響のデート、図書館ばっかりなんだ。一緒の大学に行こうって。高校が別だったのがかなりショックだったらしいんだ。逆に航はエッチばっかりだし…」
 愚痴を聞かされているのは潤。
「兄ちゃんはどんな風?」
「変わらないよ。成績が良ければセックスしてくれる。それ以外はしない。遥ちゃんも知ってるだろ?湊さんサークルとバイトもあるから忙しいみたいなんだ。」
「兄ちゃんのセックス、気持ち良い?」
「うん…」
 潤が真っ赤になって頷いた。
「ずっと、好きだったんだ。遥ちゃんを好きだと知ったときはショックでさ、遥ちゃんのことちょっと恨んだよ、みんな遥ちゃんが好きなんだって…。僕が言うのもなんだけど、航も響も、遥ちゃんのことずっと好きだったんだよ。長い目で見てあげなよ。」
「うん」
 妙な説得力があった。
「選ばなきゃって思うからいけないんだな。」
「そうだよ」
 二人は顔を見合わせて笑った。