パタン
玄関ドアが静かに閉まった。
湊のスケジュール、今日は潤の家庭教師の日。
トントントントン
スリッパを履いた足音が階段を上がる。
パタパタ…パタパタ
足音は一瞬、遥の部屋の前で止まる。が、すぐに又動きだし、湊の部屋へと消えていった。
湊は自室に戻るとすぐに部屋着に着替えをして、バスルームへと向かう。
その時も、遥の部屋の前で一瞬立ち止まるのだ。多分習慣になっているのだ。
今着たばかりの部屋着を脱ぎ、バスルームに入るとシャワーのコックを捻る。
つい30分前まで、潤の穴に突っ込んでよがらせていたモノを丹念に洗う。
潤に欲情しているのではない、ただ、自分は遥を諦めるために、そして健気に慕ってくれる潤の気持ちが切なくて、身体を重ねてしまうのだ…と言い聞かせる。
洗っていたはずなのに、扱きたてていた…遥の喘ぐ姿を思い出し、熱を帯びたモノをさらにピッチを上げて扱いていた。
「遥…」
バスルームの床に、シャワーの湯と共に、白い欲望がまき散らされた。
しかし、脳裏にはうっすらと目元を朱に染めた、潤がいた。
パタン
遥は静かに洗面所のドアを閉めた。
洗面所とバスルームは隣にある。
歯磨きをしていないことを思いだし、湊がいるのを承知でやってきた。
まさか、湊がバスルームで自分の名を呼びながら自慰をしているなんて、予想もしなかった。
自室に戻り、ベッドに飛び込んだ。
「どーしてオレなんだよ、みんな…」
愛されるのは嬉しいけど苦しい。
そして哀しい。
明日、潤に会えない…
遥は早朝、家を出て学校に向かった。
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