「やだー、だって遥ちゃん、航とセックスしたんでしょ?航怖いもん!」
「遥ちゃんのセックスは下手くそだって有名だしー」
「病気になったらやだもん」
…おかしい、端から断られる。…
遥が朝からやっているのは、女の子漁りだ。
「誰でもいいんだってばー。オレを男に戻してくれよー」
「なんか違くね?」
「違ってもいいから、女とヤりたいんだよー」
航や潤が見たら怒り狂うだろう。だから朝早くに来たのだ。
しかしここは一応学校内、そんな相手は見つからない。
遥は忘れている、以前同じことをしたが失敗したことを…。
「遥ちゃん」
背後に潤がいた。
「何してたの?おかしいよ、なんか…盛りのついた猫みたい。」
呆れた顔で問いただす。
「航が見たらはり倒されるから…まあ、遥ちゃんが航に負けることはないけどさ…泣かしたいの?航のこと。」
フルフル
小さく首を振る。
「じゃあどうして…」
「オレは男なんだよ、男に欲情されるなんて真っ平だ。全うに生きていかなきゃ、父さんや母さん、どうしたらいい?兄ちゃんだって潤と出来てるし…オレが跡取らなきゃ、家は滅びちゃうんだよ」
「うそつき」
潤の手のひらが遥の頬にヒットした。
「遥ちゃん、怖くなったんだ、そうだろ?」
フルフル
「本当に、イヤになったんだよ」
ぷいと背を向けると、遥は教室へと向かった。
放課後。
遥はカラオケボックスにいた。
女子数名が行くというので便乗したのだ。
「遥ちゃんってさー、男子って感じじゃないよね。航が夢中になるの、分かるなー」
隣に座った女子が、突然語り出した。
「航と喧嘩でもしたの?今日は話もしなかったみたいだし。大事にしなきゃ、恋人なら。」
「気持ち悪くねーの?オレたち。」
「なんで?遥ちゃんは遥ちゃん、航は航。…浮気相手はごめんです」
やっぱりダメなんじゃないか…遥はがっかりした。
家の前に着くと、そこに航がいた。
「今日は僕の恋人になる日だろ?何してた?」
「いいじゃないか、たまには。」
「いいけどさ、言ってくれよ…心配するじゃないか…今日も響に会ってるのかもって。湊さんが手を引いてくれたからライバルが減ったのに、胸騒ぎは前と同じだよ…」
湊
遥の胸も騒いだ。
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