モヤモヤ
胸の奥
モヤモヤ
頭の中
「あーっ!」
遥は突然叫んだ。
「どうした…ん?」
航が不思議な顔をしている。
「中止!日替わりの恋人は中止!オレ、健全な普通の高校生に戻る。航とは今まで通り、友達な。…恋人は大学生になってから考える。」
「なんだよ、それ。」
「兄ちゃんに文句言ってくる!じゃーな、今日は悪かった。」
勝手に一人で決めて去っていった。
「ま、遥らしいけどな。」
航は妙な納得をして帰って行った。
「兄ちゃん!」
ドアをノックもせずに乱暴に開く弟を、机に向かって何か書き物をしていた湊は拒否もせず見つめる。
「なんだ?」
「なんでオレにえっちなことしたんだよ」
「可愛いからに決まってるじゃないか。ばーか」
「ばかなのに可愛いのかよ」
「それとこれとは別だろ?相変わらず頭悪いな。やっぱり勉強みてやろうか?…もうえっちなことしないから。」
「うん」
湊は椅子から立ち上がると、遥を抱き寄せた。
「可愛くて、食べてしまいたくなっただけだ。大丈夫、僕には今、付き合っている人がいるから。」
「ちゃんと、責任とって付き合ってよ…オレの大事な親友なんだから。」
「ああ。」
湊は否定しなかった。
「止め…って、なんで?」
「安心して。一日置きの図書館での勉強は続けるから。一緒の大学に行こう。」
「…わかった、よ。」
響もなんだか解せないが納得させられてしまった。
なぜかそれからの遥は、真面目に学校でも放課後も家でも勉強をしていた。
…二年の夏休み前までは…。 |