もう、ダメかな…とは思っていた。
五年間も響はこんな気持ちを味わっていたんだと痛感する。自業自得だとも。
改めて遠くから眺めてみると、遥なんて勉強ができるわけでもないし、気が利くわけでもないし、誰とでも仲良くするし、可愛いし、運動神経はいいし、素直だし…なんで途中からいいことばかり浮かぶんだ?兎に角諦めなきゃ…と、一人イジイジと悩む航がいた。
そこに、悪魔が忍び寄る…。
「遥ちゃん、響と夕べもめてたらしい…湊さん情報だよ。」
航の耳元に囁いたのは潤。
「響にとられるのだけはイヤなんだって。航なら仕方ないって言ってた。」
こっそり耳打ちするとにっこり笑う。
湊の魂胆は見え見えだ。自分は蚊帳の外なので二人で楽しもうという趣向だ。
しかし。
目の端にため息を付く遥を見留めてしまった。
追い縋る航、突き放す遥…ちっとも進展がない。
遥、暫く距離を置こう。友達に戻れるように
航は、最後の賭に出た。
遥としては落ち着かない。
自分から距離を置こうとしていたのに、先手を打たれた形だ。しかしここでくじけたら元の木阿弥だ。じっと耐える。
そして。
高校二年の秋、最大のイベント
修学旅行を迎える
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