土曜日の午後。
いつもなら遥は響と二人で図書館にいる時間。
今日はファミレスに四人でいた。
遥、響、航そしてジャッジメントとして潤に来てもらったのだ。
「響がさ、遥に選ばれたからかな?堂々としていた気がする。」
とは、のちに潤が言った言葉。
対して航は
「なんだかそわそわしてた」
そうだ。
「あのさ…上手く言えないんだけど、もしもどちらかと付き合って、浮気されたらショックなのはどっちかなって考えたんだ。航とは数え切れないくらいえっちしたのに、独占欲がないんだ。響が他の男を抱いたらヤだなって思った。だから響が好きだなって…単純でごめん…オレって下半身中心に物事を考えるみたい」
「潤」
遥の話に返答もせずに、響は潤の名を呼んだ。
「湊が遥を抱きたいと、今言われたらどう思う?」
「え?」
潤は知っている。湊が遥を吹っ切っていることを。
「それはないから…でもそれじゃ回答にならないね…ちょっと前までならやっぱりって思えたけど、今はヤだ。湊さんの腕が遥を抱き締めるなんて考えたくない。」
響が満足げに頷いた。
「気持ちがどこを向いているかじゃないかな?遥は僕が言ったことに心を奪われていた。でも今、航に好きだと言われたことに揺れている。」
「ちが…オレは響が…好き…だよ」
遥の声が小さくなり、頬が紅潮した。
「素直に心を開いたらいい、僕は恨んだりしない…遥が二人の手を取っても。」
「二人の手を取る?」
遥も航同様1対1に囚われていた。
「三人なら、問題がない…違うかな?僕も毎日航の陰に怯えなくて良い」
今まで黙っていた航が口を開いた。
「格好悪いよな…遥に捨てられそうになったから必死に追い縋って挙げ句の果てには響に情けを掛けられて…でもそれでもいい…望みがあるならなんでもいい、遥のそばにいたい。」
遥が決意した。
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