「響がそう言うなら、そうする」
「遥、違うだろ?遥の意志で決めてくれ」
響はあくまでも遥の意志を尊重する。
「三人で付き合う…ってどうしたらいいの?」
「遥の好きにしたらいい。会いたいときに会いたい方に会えばいいんだ。」
「うん」
遥が生き生きとした笑顔を、やっと見せた。
当然、この話し合いは湊に筒抜けである。
「に、兄ちゃん?」
「遥…」
深夜、泥酔して湊が帰宅した。机に向かってやっと高校二年レベルまで勉強が追いついた遥は必死に予習していた。
「遥…」
抱き締めて、何度も何度も名を呼ぶ。
「なんで響なんだ?なんで航なんだ?なんで僕はだめなのか?」
「兄ちゃん…潤は?」
「お前は二人も相手がいるんだろ?なら僕だって二人居てもいいじゃないか…諦められたと思ったのに…僕の手を離れた途端、勉強も出来るようになるなんて嫌がらせにも程がある…」
言うと反論は聞きたくないとばかりに唇を塞ぎに掛かる。
「んっ…」
遥は覚えのある感触にとらわれた。
必死で遥の唇を貪る湊を突き放せず、腕を首に回していた。
口辺から唾液を滴らせて、いつまでも湊は遥を味わっていた。
「ごめん!」
朝目覚めると、湊は遥のベッドにいた。
遥は湊の部屋で寝たらしく、目覚めた時には既に着替えを済ませていた。
「兄ちゃん、飲酒禁止」
苦笑しながら言い渡される。
「遥のことは本当に諦めたんだ、今は…その…潤が可愛い。だから潤にこのことは黙っててくれ。」
「いいよ。だってキスしただけだしね」
キスしただけでも、湊には有頂天になるような事実なのに…。
出来ることなら二人とも手に入れたい。湊の正直な気持ち。 |