第六十六話  魔手
 朝、目覚めると夢精していた。


「なー、格好悪いよなー」
 遥は潤に朝から下ネタ話だ。
「欲求不満じゃない?遥ちゃんは最低でも三日に一回はしたいんじゃない?」
「潤は?」
「僕は…別に…どんなんでもいい…一年でも二年でも…」
「げっ!確かに無理無理。」
「何が無理?」
 背後から声がした。遥の表情が輝く。
「おはよー」
 響だ。
「遥ちゃん、欲求不満だって。セックスの相手してやってよ。」
 響が微笑む。
「いつがいい?」
「バカっ、本気にすんなって…」
 内心、今日…と言いたかったのは内緒。
「でも夢精するくらいなんだから」
 響の表情が曇った。
 その後、航にも同様に話したら同じ表情をした。


「兄ちゃん。夢精って欲求不満なのかな?」
「じゃない?」
「そっか…」
 みんなと同じ回答をもらって喜んでいたが…。


「んっ」
 遥が身じろぐ。
 布団の下に手を突っ込み、遥の肉棒をしごいていたのは湊。
 片手で自分の肉棒もしごく。
 遥は、夢精ではなく、手淫だったのだ。
 それに、響と航は気付いた…のかどうか…。


「遥、誰の夢みたんだろう…」
 二人の思いは相手への嫉妬心だった。