第六十八話  二者二様
 遥の場合、潤には「週2」を否定しなかったものの、実はそんなに頻繁にしたいわけではなかった。
 変な話、航とはセックスがしたいけど、響とはセックスもしたい…と言う感じだ。
 決して響が下手くそ…というわけではない、念のため。
 ちなみに航も響も、初めては遥である。
 つまり、遥しか知らない…のだ。


 いつもの図書館。
「ねぇ、響。」
「ん?」
 スッとノートを差し出す。

欲求不満にならない?

と、書かれていた。

「別に」
 不思議そうに見返された。
「ふーん」
 するとノートの端に

遥が一緒にいてくれるから平気

と書かれて戻ってきた。
 遥はびっくりした表情から徐々に恥じらいの表情に変化した。
「そっか」
 なんだか嬉しそうだ。


 翌日。
 四階の無人教室で昼休みに机をギシギシと音立てていたのは遥と航。
「航…っ」
 気持ちが伴えば航とのセックスは気持ちいい。
「はっ…んっ…」
「遥…」
 最中、遥は考えていた。

航とはセックスしかしていない

と。
「遥っ、好きだ」
 ドクン
 航が中で弾けた。
 航は、オレの身体が好きなのか?セックスしなかったらいらないのか?
「航、オレ暫くセックスしない!」
「ん?また?」
 身なりを整えると宣言した。
「もっと違うことしよう」
「違うことって?」
「他の奴らみたいに話したり…」
「あいつら恋人同士なのか?」
「違う」
「なら」
「でも違うんだ」
「響と比べるなよ」
「違うよ」
 航は分かってくれない。
「兎に角、暫くしたくないんだ」
「したくなくなるくらい、響としてるってこと?」
「どうして響が出てくるんだよ、違うよ。響とは最近全然してない。」
「夢精するくらい好きだから?」
「航!」
「ごめん…嫉妬した…一度は捨てられたんだからな、自重しなきゃな」
「だから、違うんだよ!このままじゃ航とはセックスだけの繋がりになっちゃうじゃないか。もっと違う関係も欲しいんだ。離れたくないから。…あのさ、響は両親に話したんだ、オレとのこと。航は、どうする?」
「遥は話したのか?」
「まだ。でも近いうちには…」
「試すのか?」
 航はそれっきり、口を利かなくなった。