「遥は本当に素直だな」
通学途中、母親が幼児に対してするように頭をなでられた。
「ならないよ、医者。なれるわけないだろ?僕に。」
航は当たり前と言う顔だ。
「だけど航、理系コースだろ?」
と発言した潤に対して、余計なことを言うなーといった表情をした。
「航が医者で響が薬剤師なら、看護師もいいかなーって、風邪引いて思った。」
「いいんじゃない?遥ちゃん、老若男女に好かれるから向いてるよ…力もあるしね。僕は何か取り柄があるとしたら、数字に強いことかな…って思ったから企業で経理が出来たらなーって。」
すると、航がはたと考え込んだ。
「遥…実はさ、うちの母方のじいちゃん、医者なんだ…産婦人科だけど。継がないかって言われてるんだ。医師は相続する際、税金が掛からないんだ。でも、産婦人科…なんだよな。」
遥が考える。
「小児科を増やせばいいんじゃない」
航の表情が明るくなった。
「なんでかって?」
遥は図書館で響にも質問した。
「薬が好きなんだ。研究もしたいかなと思ったけど毎日囲まれている方が楽しいかな…と。」
遥は思い知る。
潤も響も航も、ちゃんと目的があってスタートしている。
動機は不純だが看護師を目指そうと決心した。
ちなみに、湊にも聞いてみた。
「いずれは食品関係の会社を起業するのが目標」
だそうだ。
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