第七十五話  冬休み
『なあ、遥と連絡取れたか?』
『いや。約束の時間に図書館にも現れない』
『ヤりすぎたか?』
『かもな』


『え?』
『だから、遥ちゃんとも湊さんとも連絡が取れないんだよ』
 響と航と潤は遥の家に出掛けた。


「遥は一日に帰ってきてから体調不良で臥せっている。最悪なことに両親が母方の実家に帰ってるんだ。だから仕方なく僕が看てる。そういうわけだから。」
 湊は三人を一瞥しただけで玄関から中には入れずに追い返そうとした。
「湊、一目、会えないか?」
 湊はもの凄く怒った目つきで響を睨み返した。
「どうして遥があんなになったのか、解ってるんだろうな?遥はお前等には渡さない…」
 バン
と激しくドアを閉めた。
「そうだよな、湊さん、溺愛してたもんな」
 航と潤は納得した。
 響はなぜ航が納得したのか不思議だった。


「誰か来たの?」
 遥はベッドの上にいた。
「響と航と潤」
「会いたかったな」
「二度と会わせるか!遥は閉じこめて飼い慣らしてやる!」
「うん。湊のモノになる…キスして?」
 ピチャピチャと水音を立てて唇を貪りあう。
「抱いて」
 遥は湊の首にすがりついて甘えた声で強請る。
「ああ、遥が気持ち良くなるように優しく抱いてやる」


 しかし、なぜこうなったのか?
 話は少しだけ遡る。
 一日の夜。遥と湊は身体を重ねた。
「は…あっ…んっ…」
 遥は湊を哀れに思ったのだ。決して愛情を抱いたのではなかった。
 湊は勘違いをした。遥が湊の気持ちを理解したのだと。
「遥っ…誰にも渡さない…」
「に…ちゃん…ムリ…オレ、響が好きなんだ。」
 遥は航とは言わなかった。
「いつか…一緒に暮らし…たい…あんっ」
「渡さないっ!」
 湊はそのまま、遥をベッドに拘束したのだ。


「湊っ、やっ…中…熱い…」
 四つん這いの格好で尻を犯されているときは、屈辱的だ。自由がない。
「あっ…んっ…あぁぁっ」
 ガシャン
 階下でガラスの割れる音がした。
 ドンドン
と、階段を上がる足音がして、直ぐにドアが開いた。
「湊、遥を返せ」
 そこに、響がいた。