第八十七話  ばーか
 頭がガンガンする、なんでだろう…
 そうだ、夕べ飲み過ぎて…違うな、夕べはそんなに飲んでない。
 響に、楽になると言われて薬を飲んだ。
 あいつ薬剤師のくせして怪しい薬を持ってるんだな…


 それから…


 そうだ


「やめ…」
「安心しろ、遥は二時間は戻らない。そう言い聞かせてある。身を任せたらいい…」
 響はこんなに男っぽい奴だったろうか?
 流される…
「僕で、勃つのか?」
「十分だ」
「やっ…んっ…くるし…い」


 冗談にも程がある。
 僕が?


「航は、女だよ」


 響の、ばーか


 誰が信じる?
 僕が、男を欲しがる人種だなんて…


 だけど…


 わからないが、胸が痛い


 だったらどうして、いままでこんなにも遥に執着したんだ?


「答えは簡単だ。航は僕に惚れてたんだ、最初から。」


 響の、ばーか。
 そんなわけないだろ?
 お前なんか大嫌いだ。
 だから意地悪して排除してやった。
 遥を最初に女にしたのだって僕だ。
 響なんて…大嫌いだ。