| 心配そうに航の顔をのぞき込む遥だった。 航はベッドに寝ていた。二人が使うベッドだ。
 「そんなに飲んだのか?ずっと頭痛いって言ってた。響から預かった薬飲む?その前にご飯だ。」
 パタパタと動く遥。
 その後ろ姿を見つめて、航の胸が痛んだ。
 「遥…響と寝た」
 「だーかーらー、最近は忙しくてぇ」
 「違うよ、僕が響と寝た」
 「え?響と?航が?」
 「響に抱かれた…女なんだってさ、響が言うには。何だろうな」
 これは医学ではない、心理学の分野だ。
 「ここで、した?」
 「わかんないんだ、ぼんやりしてて…けど…異物感がある」
 「じゃあ、そうなんだ…そっか…なんだぁ…うん…そうだよね…」
 「遥、なに…」
 航は先を言わなかった。遥は勘違いをしている。
 二人の仲を裂くなら今だ。
 
 
 「どうだった?」
 薬局の前で落ち合った。
 「かなり動揺してた…なんか良いのかな…航のこと、騙しても。」
 「かなり幻覚症状が出てたな。本当に僕が航を抱くと思ってるのか?かなりイかれてる…」
 「でも本当に航が響に恋したら可哀想だ」
 響が、遥をじっと見る。
 「嫉妬、してる?」
 「少し…」
 「そうか」
 なぜか嬉しそうだ。
 「僕は遥だけだから」
 こくり
 と、頷いた。
 
 
 胸が痛い。
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