| 「大阪に?」 「うん。昨日から行ってる。」
 「じゃあ暫くは響と二人きりだ。」
 「うん」
 響の唇が遥のそれに重なった。
 
 
 「あっ…んんっ」
 遥に響が圧し掛かって挿入し、抽挿を開始したときだった。
 携帯電話が鳴った。
 「はぁん…やだっ、抜かないでぇ」
 遥は甘ったるい声で響に懇願した。
 暫く鳴り続けた電話は、留守電に切り替わった。
 
 
 「隣?」
 「ああ。」
 「あそこは湊に売る予定だ」
 「その反対側」
 「そこは庭に…」
 「そこを売ってくれ。」
 「やだ」
 「遥の職場を作る」
 「…絶対に言うと思った」
 
 
 航は祖母を説得して東京で開業させる決意を固めたのだ。
 「…祖母との約束は…跡継ぎを作ることだ。だからそばにいさせて欲しい。」
 「え?」
 「普通に、結婚する。」
 「誰と?」
 「女と」
 「だから」
 「まだ決めていない。これから決める。」
 「…あの辺の土地、父のものなんだ、遥には言っていないけど。病院を作れる場所かどうか確認してみる。」
 「響…僕は別の形で幸せになるから。色々迷惑かけてごめん。でもさ、本当に、遥も響も好きだった。」
 「知ってる。だから離れられないんだろ?」
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