第九十七話  四人
「もうっ!俺ら高校生の時と何一つ変わってないじゃないか!」
 二人に散々イジられて悶えまくった後、遥は喚き散らした。
「いや。遥は響の嫁さんだろ?ちゃんとわきまえてるよ。僕は横からチョッカイ出してるだけ。」
 事実、航は遥に挿入れていない。
「遥、湊さんのこと、知ってた?」
「女と入籍して週末婚だろ?相変わらず詰めが甘いよな」
 言いながらも視線が泳いでいる。
「遥の家ってそんなに由緒正しい家柄だっけ?」
 航はまだ湊の話題を引っ張っている。
「普通だよ。親父はサラリーマンだし、お袋は専業主婦だしな。兄貴には一流企業か公務員になって欲しかったみたい。まさか自分で起業するとは夢にも思って
いなかったみたいだよ。」
「跡取りにこだわるのは?」
「世間体だね、確実に。」
「だったら人工授精だって良いじゃないか。」
 遥は初めて気付いた。


「兄貴!」
 翌週の日曜日。遥は実家に突入した。
 勿論、湊の部屋に。


「で?」
 遥は事実を見届けて帰ってきたのだ。
「隣は更地にして戻す。二度と潤には会わせない。潤は薬局の事務をやってもらう。…兄貴があんな奴だとは知らなかった…」
 結局、湊は遥のこと以上に潤を考えてやることは出来なかった。
 週末婚はかなり前からだったらしく、実家には既に子供が居たのだ。
「情けなくて涙が出る」
 遥は湊のことを信用していた。だからこそ、親友の潤を託したのだ。
「やっぱり高校時代と変わらずに四人でやっていこう、な?」