「は?」
遥は耳を疑った。
「だから、嫁とよりを戻した。家に帰るよ。」
航はそう言うと、わずかに置いてあった荷物を持ってさっさと隣家へ移動して行った。
「僕も一回、実家に帰るよ。」
潤はそう言って出掛けて行ったきり、二度と連絡がつかなくなった。
両親から監禁されるように閉じこめられ、あっと言う間に遠方へ婿に出されたのだ。まさに神業だった。
「やっと、二人になれた」
響は素直に二人っきりになったことを喜んだが、遥は複雑だ。
自分の行動が親友たちを不幸に追い込んでいる気がしてきた。
「遥、それは違うと思う。どれだけ相手を思っているか、重さの問題だよ。…航は遥を愛しているからこそ、帰ったんだ。潤は湊さんを愛しているから身を引い
たんだ。多分湊さんも潤の将来を考えたんだと思う、二人で居ることより年老いていく互いの両親を安心させたかったんだろう。…けど、僕は遥を放さない。
遥を手に入れるためにどれだけ努力したと思う?」
言うと遥を抱き寄せ、押し倒した。
「僕たちはこれでいいんだ。」
遥は、頷いた。
「響」
「ん?」
「運命って、面白いな。」
「うん」
響は遥のおしゃべりを塞ぐようにキスをした。
「…ん…」
シャツの下から手が入れられた。
「んん…」
ゆっくりと身体を直になで回される。
「んっんっ」
遥の頬は上気していた。
「何にも考えなくて良いよ、遥は僕だけ見ていたらいい。ずっと側にいるから。」
「うん」
遥は瞼を閉じた。 |