零式性教育法
※性描写ばかりです(笑)、ご注意ください。

 今年は梅雨入りが早かったのに毎日雨がしとしと降り続きなかなか明けそうもない。
 今日も相変わらず朝から霧雨状態が続いていて洗濯物は室内干しか乾燥機という状態で太陽の匂いが恋しい季節。


「あっ…やっ…んんっ」
 こっちの方も相変わらず、毎朝お盛んである…って自分で言うか?
「れ…いっ…」
 どこかで目にしたんだけど、結婚して三年くらいするとセックスは週1とか月1になるらしい。だけど零は絶対毎日求めてくる。前より激しいくらいだ。
「あっあっ…ダメっ零…っ、壊れちゃうよぉ…」
 分かっているけど言わずにはいられないくらい激しい。
「めちゃめちゃにしたい…」
 もう十二分にめちゃめちゃですっ。
「いやだぁ…あ」
 その時、誰かがエレベーターを上がってくる音がした。
 この部屋はマンションの最上階でワンフロアーで一世帯なので、エレベーターが上がってくる際、警告音が鳴る。
「なんだよ、あきらちゃんかな…」
 零はまだ硬度を保ったままのペニスを引き抜くと仕方なしに下着を身に着けた。当然僕も慌てて服を着た。
 玄関のドアロックが解錠する。と同時に…「開けてー」という声がした。
「イケね、ドアチェーンだ。」
 零が部屋を飛び出した。
「聖、どーした?具合悪いのか?」
 僕も部屋から顔を出す。
 途端に聖が真っ赤になった。気付かれた…よね?
「季節外れの学級閉鎖。雨が続いて体調を崩す人が多いんだ…ごめんね、タイミング悪く帰ってきて。でも真っ直ぐ帰らなきゃいけないんだ。」
 聖はずっと僕達に気を遣ってくれている。
「ママのところに行っていた方がいい?」
 身体が大きくなってもずっとランドセルを背負って学校へ行く。もう以前のように玄関に放り出して遊びに行ってしまうようなことはなくなっていたけど。
「別にそれは構わないけどさ、僕たち今日は仕事ないんだよ。ずーっと一緒、なんだけど。…遊びには行けないんだよなぁ。」
 聖は少しだけ迷った顔をしたけど「二人で行けばいいのに」と笑顔で言われてしまった…超可愛い〜…って違う〜。
「ううん。聖が行けないなら僕らも行かない。久しぶりに一緒にご飯作ろうよ。」
 聖が笑った。
「無理。胸が痛くなるから。」
 くるり、と背を向けられてしまった。分からなくはないけど、僕も胸が痛いよ…。
「じゃあ、宿題、見てあげ…」
「大丈夫だから!…その、続き、してきていいからさ…」
 続きとは、セックスの、こと?
「聖、ちゃんと性教育しよう。」
 突然零はそういうと聖の手と僕の手を両方取り寝室へ向かった。
「陸、そこで一人エッチしてよ。」
 いきなり、この人は何を言うかな!
 しかし、聖の目がキラキラと輝いていた。これは、しないとダメかな。いや、やり方は人それぞれだろうし…だけど…うーん…パパは自慰行為はしてはいけないって言ったから、聖もダメじゃないかな?でも零はしてもいいってことなのかな?
「まだ、イッてないだろ?」
 逡巡している間に、耳元に囁かれて焦った。…零だってイッてないじゃないか。
 しわくちゃなシーツがかろうじて敷かれているベッドの上に座らされると、先ほど身にまとったばかりの着衣をあっという間に脱がされた。
「零くん、マジシャンみたい。」
 聖が感心して見つめているその視線の先には自分の性器があることを認めて再び動揺した。
「あっ」
 慌てて両掌で隠す。
「りーく、それじゃ、見えない。可愛い顔だけどさ。」
 零の意地悪。
 渋々手を外すと、二人は僕の性器が良く見える位置に移動した。
「零、こんな、イヤ…だ…」
 聖に見せるのはイヤ…そう言えば分かりやすいけど言いたくなかった。それは自分が散々聖に焚きつけていたからだ。あれは性教育なんかじゃない、自分が零と恋人になれて聖と一緒に暮らせることになって嬉しかったから、今思えば聖に自分たちがしていることを正当化させたかったんだ。
 零は僕の背後に回ると脚を開かせた。
「イヤ…」
 涙が溢れてきた。
 しかし零は構わずに自分の手を僕の性器に添えた。
「根元から先端に向けて優しく、強く加減しながら扱くんだ。…気持ちいい?」
 すすり泣きながらも中途半端になっている体内の熱がはけ口を求めて集まってきた。
「んんっ」
 喉から声が漏れる。
「どんな感じ?」
「あっ…やっ…気持ち…イイ」
 透明な液がつ、と鈴口からこぼれる。
「陸はお行儀が悪いね。すぐに涎を垂らすんだから。」
 耳元で熱い息を吹きかけながら零が囁く。
「聖、陸はこんなにイヤらしい身体だからすぐに感じちゃうけど、それは僕に心も委ねてくれているからだよ。」
 それは、そうだけど…と心の中で肯定していたら、身体が宙に浮いた。
 そして次の瞬間、体内に硬く熱い肉の塊が押し込まれた。
「ふあっ、ああんっ」
 背面座位、って体位かな?なんて考えている僕はかなり余裕があるな。
 胡座をかいている零の膝の上で、僕は身体を上下に揺すぶられる。
「あっあっあっあっあっ」
 断続的に喉から声が吐き出される。身体は不安定に揺れる。両手は零の膝の上に置くしかなかった。
「あんっあんっ」
 無意識のうちに性器に手を伸ばし、擦っていた。
「イクっ…う…ああんっ」
 ずっと内からくる快感を追い求めて瞼を閉じていたけれど、ふと視線を感じて目を開けた。聖と目が合った。
「あぁん」
 聖に見せつけるように脚を開き、結合を自ら進んで見える位置に身体をずらした。
 僕は…鬼のような人間だ。いや、違うただの獣だ。欲望のままにセックスをする、それも年端もいかない息子の前で…。
 しかし、次の瞬間聖の意外な行動に僕は動揺した。
「イヤ…聖…ダメ…ああんっ」
 自分で擦り上げていた性器を、聖が巧みな手付きで扱き始めたんだ。
「陸、気持ちいい?」
「あっあっ…イイッ…あんっ」
 前も後ろも限界だ。
「イヤッ、あっ、イクッ、イクぅー」
 ドクドクと白濁した体液を聖の掌に吐き出し、僕は肩で息をしながら酸素を求めた。
 何も考えられない、いや、考えたくない…今までで一番気持ち良かったからだ…。
 荒い呼吸の下、僕はゆっくり目を開けた。
「せ…」
 僕は慌てて聖の行動を遮った。
「なんで?」
 聖が寂しそうに僕を見る。
「いやだ…聖…ってダメ、零っ」
 僕の動きを封じるように再び零が僕を突き上げる。
 聖は自分の手に付いた、僕の精液をペロリと舌で舐めとった。
「いやぁ」
 獣のように四つん這いにされ、バックから腰が砕けそうなほど激しく突かれた。
「聖…お願い…見ないで。」
 これ以上、こんな浅ましい姿を晒したくない。
 でも聖はじっと僕を見て、顔の前まで移動してくると、僕の精液で濡れた唇でキスをしてきた。
「んっ」
 どうしよう…感じる。もの凄く気持ちいい。
 快感に溺れながらなけなしの理性がふと、パパの言葉を蘇らせ、零の行動の意味を理解した。
 パパは最初、同性愛に理解を示さなかったのに僕の性には興味を持った。
 自分の手は汚すな、パパがしてやるからと。
 聖が興味あるのは僕で、だったら僕の性生活を見たら他に手出しはしないだろうということではないだろうか。
「聖」
 零が聖の名を呼ぶ。
「陸の身体は僕仕様になってるから、聖じゃ満足しないんだ。だからせいぜい陸のエッチな顔をおかずにマスかいてな。」
「零…そんな…」
 言葉は続けられなかった。聖の唇で再び塞がれたからだ。
 聖のキスが回数を重ねる度に官能的になっていると思うのは気のせいだろうか?
「んんっ」
 キスをしながら、聖が喘いでいる?
 薄く目を開けてちらりと聖の肩に視線を動かした。これ以上は見えないんだけど、聖の右肩が規則正しく前後する。
 零の言うとおり、自分で慰めているみたい。
 なんだか…おかしくなりそう…。


「聖じゃまだまだ、陸を満足させられない…っていう性教育。分かった?聖は僕に似て顔もルックスも良いし、勉強だって出来るだろう?焦らなくて良い。必ず聖の運命の人はいるから。」
 夢うつつで聞こえた言葉。
「だって!零くん16歳になったときにまだ陸を好きだったら口説いても良いって言ったじゃないか!」
 聖が反論する声。…ん?
「陸が、僕を選ぶ可能性だってあるんだからね。それまでには僕の…だって大きくなってるもん!」
「へー。僕は小学六年の時、高校生のお姉さんをひーひー言わせたけど?」
 零、その言い方下品。
「えっ?じゃあ僕の…これだけ?」
 聖が情けない声を発した。
 そこで力つきて眠りに引き込まれた。


 相変わらずミストシャワー状態の雨は降り続いている。
 僕は暫く気を失っていた。気付いたときには聖は部屋におらず、零が僕の身体を拭いてくれていた。
 気がついたことを確認した零は、僕にシャワーを使うよう言いおいて寝室を後にした。
 浴室からリビングに移動すると、洗濯物が乾燥機の中でぐるぐる回っている。
「あ、零だったんだ。」
 リビングでパソコンに向かってなにやらキーボードを忙しなく叩いている。
「聖はすっかり自信をなくしたみたいだ。」
 モニターを見つめたまま、話しかけてきた。
「当たり前だよ、零の超絶倫プレーを目の前にしたら…」
 待てよ?聖は度々寝室を覗いていたんだよね?
「自分のサイズが陸より小さいってさ。」
 …なに?
「陸とセックスしたら自分が陸みたいに乱れさせられるのかと懸念しながら今は算数と戦っている。」
 そっか。
「しばらくはそれでいいか。」
「うん。」
 セックスに興味をもつ年頃なんだろう、仕方ない。
…っ、んっ…
 聖の部屋から怪しげな声がする。
「なに?どーしたの?」
「陸のあれだけ乱れた姿を見たら、しばらくは何も手に付かないさ。今頃は…」
 僕は慌てて零の口を手で塞いだ。
「自分で慰めてんだろ?…そうか、陸は裕二さんから自分で慰めるなって教育されたのか…でもそしたらどうやって性欲を満たすんだ…裕二さんか…僕はイヤだよ。」
 一人で勝手に解決した零が僕に抗議する。
「…パパがいないときは、自分でしたよ…零のこと考えながら。僕は、聖のように女の子とセックスしてみようって思ったことがない。知識としてはあったけど、どうしたら零とセックスできるかを考えていた。」
「あれ?陸、もしかして聖の前でセックスしたの後悔してる?あんなに乱れていたけど…。」
 いやー、言わないでー。恥ずかしい…。
「少しね。」
「やっぱり。」
 言いながら零はマウスを動かす。
「これ、読んだら気が変わるよ。」
 零が開いたのは会員制のブログサイトだった。
「フォルダー内にあったURLを入れたらこのサイトが表示されたんだ。」

 宝物
  ドキドキした。
  見るだけだと、触れることは叶わないと思っていたのに、僕の手の中でキラキラしていたんだ。
  学級閉鎖、風邪引いてるみんなには悪いけど休みになってラッキーだった。
  明日はちゃんと宿題します。

「聖には陸が宝物なんだな。僕があのくらいの時にもそうだった。」
 聖の宝物?まさか…。
「これって聖のブログ?」
「うん。学校指定の日記みたいな物らしい。通達、読んだような気がする。」
 あ。そういえば。
「新学期になってすぐにそんなことが書いてあった。」
 学校からの通達関係をしまってあるファイルを確認すると、家庭でも確認するよう書いてある。
「僕、聖に好きって言われてから聖を避けていたように思うんだ。聖の気持ちに応えることは出来ないから。だけど僕は聖の親になりたいと思ったんだから、ちゃんと向き合わないといけないね。」
 零がにっこり笑った。
「クドいけどさ、僕ひとりに決めちゃってくれる?」
 大きくうなずいた。
「なら、聖に話そうか。」
 零は僕の気持ちを確認したかったの?
 そりゃあ、聖は大好きだけど零に抱く感情とは全くの別物だよ。
 聖とキスはできても…きっと、セックスも出来るけど…愛は語れない。
 それは夾ちゃんにも言える。
 世界で愛を確認出来る人はあなただけ。
「聖、話があるんだけど。」
 聖は零と僕の隠し撮りビデオを見ていた。

「ごめんなさい」
 聖は大きくうなだれる。
「あんなの、別に聖にとっては大したことじゃなかったんだ…だから実際に女の子とセックスしてみたいと思ったんだ?なら、明日から一人で留守番頼むね。」
 え?零?
「僕が小学六年の時には涼ちゃん、仕事が忙しくてさ、殆ど家にいなかった。仕事部屋なんか持っていたしね。あきらちゃんはあんな調子だからすぐに僕を頼りにするんだ。何でも僕が決めていた。聖にも責任を持ってもらう。実際に出来るようなら…陸を口説いてもいい。まあ、落とせないだろうけどな。」
 聖の顔が一瞬のうちに輝いた。
「零くん!僕頑張るよ!」
 あの。僕、ここにいるのに無視ですか?
「ねぇ聖。僕は聖の親になりたいんだけど、ダメなの?恋の相手なの?」
「うん。陸は僕の初恋だから。見事に砕け散るのは覚悟してるよ?」
 言いながら笑っている。
 どうしよう…僕はひとつ屋根の下で二人の男に愛されちゃったわけ?
 超ドキドキする。
「じゃあ宣戦布告されたし、したから。」
 そう言うと零は僕の手を取り寝室に連行された。
「聖がいても、陸を抱く!」
「ちょっ、まっ…」
 いくら抗っても僕の力は微々たるもので、零の欲望の方が強かった。
「やっぱり零くんマジシャンみたい。」
 ドアにもたれて聖がこちらを見ていた。
「せーい、助けてー」
 すると聖はにっこり笑うと「助けたら僕のものになる?」ときた。
 反論しようと口を開きかけたところを不覚にもキスで塞がれる。
 んーっ、零っ!僕に人権はないの?
 必死で両腕をつっぱり、引き剥がそうと抵抗したけど全く歯が立たない。
「ぷはぁ」
 ようやく離れた唇からは息も絶え絶えの自分の力ない声が「いやだ…」まで発したところで今度は力一杯抱きしめられ封じられた。
「ベッドから起き上がれないくらい、したい…」
 耳元に囁かれた不吉な言葉。
「陸の脚が閉じなくなるくらい、開きっぱなしにしてあげようね。」
 僕は零の胸に抱き込まれて一言も発することが出来ないまま、両手の拳で零の背中を渾身の力を込め連打した…が、効果は皆無だった。
「よしよし、そんなに嬉しいのか。」
 もうっ、零はどこの色惚けだよー!
 抱きしめていた腕の力が緩くなったところで反論を開始…ところが零の左手の親指以外の指が全て口の中に押し込まれたんだ。
「んーっ、んー」
 これしか言えない…。
 その間に準備したらしい、ハンドタオルを指と入れ替えで押し込まれ、どこから持ち出したのか、両手首には手錠が掛かっていた。ベッドの脚に手錠の片側を繋がれた。
 なんだかもの凄く惨めになってきて、涙がこぼれた。
 僕も男だから好きな人を独占したいとか、征服したい気持ちは分かる。
 だけどこんなのはイヤだ。
 強姦されるみたいだ。
「零くん、陸泣いてるよ?」
「いいんだ、陸にはちゃんと教えておかないといけない。自分の心を支配している気持ちは何なのかを。」
 気持ち?
「聖に口説かれても、迫られても抵抗出来るようにね。なんたって僕の息子だからやり方も同じだ。四年あれば覚えるだろう…。口説かれても脚は開くな。」
 聖が「ずるーい」と叫んでいるが僕にはその声が遙か遠くに聞こえた。
 零は僕と聖の間で困っているんだ。
 僕が強くなければ、負けてしまう。
「んーっ」
 喉から声がこぼれる。
 零の指が後孔を捉えてこじ開ける。
「んっ、んっ」
 前立腺に触れるか触れないかの位置をゆっくりかき回す。
 自然と腰を動かし、一番気持ちいい場所へと導く。
「零くん、僕宿題するね。」
 パタン
 …
「何だ、見ないのか?」
 零の手がピタリと止まり、体内から引き抜かれた。
「なんか、拍子抜け。」
 え?
 零はそのまま僕を放置して隣に寝ころんでしまったんだ。
 中途半端に火を点けられた身体は、刺激を求めているのに、戒められている手では自分で慰めることも出来ない。
「年頃の男の子の扱いって難しいな。」
 零は真剣に聖を心配している、それは十分承知しているし、僕も心配だ。けど今は自分のことで手一杯、何も考えられない。
「んっ…う」
 口の中に押し込まれたタオルが邪魔で声が出せない。
 唇と舌を使って必死に押し出す。
 はーっ
 やっとの思いでタオルを外した…のに、
スー
という心地良さそうな寝息が聞こえてきた。
「零っ、外して…」
 手錠を外して欲しかった。そうしたら浴室で自分の熱を処理出来る。
 だけど、零は全く気付かない。
 なんとか外そうと身体を浮かせたときだった、体内に違和感があった…何かが入っている。身体を動かすと中で動くのだ。
「やだっ、こんな…」
 涙が出てきた。僕はこんなセックスがしたいわけじゃない。愛されている実感が欲しいだけ。
 段々と頭が冴えてくると同時に身体の熱も急速に冷めていった。
 ベッドの足下に、鍵が落ちている。足を使ってそれを引き寄せる。
 体内に留まっていた物が、脚を開いたことでぬるりと押し出された。ビー玉位の大きさのプラスチックの玉だ。ひとつ、ふたつ…五つも出てきた。
 何とか手錠の鍵を外し、浴室に移動した。
 シャワーを使いながらふと、零はこれから僕になにかあったときの為に対処法を身に着けさせようとしたのではないかと思った。零が意味もなくこんなことはしないはずだ。
 ぼんやりと考えながら寝室に戻ると、零はベッドに腹這いになって頬杖をつきながら「良く出来ました」なんて呑気に笑っている。
「いつこんな物入れたの?」
「陸があんあん言ってた時。」
 それはどの時点を指しているのだろうか?
「あれ?五個しかない?一個足りないな。」
 え?そうなの?
と思った瞬間、バスローブを引き剥がされていた。本当に零はマジシャンみたいだ。
 身体をふたつに曲げさせられて、お尻を突き出す格好にさせられた。
「お腹に力入れてごらん。」
 行為の後、トイレでやるような感じでとまたまたリアルなことを言われてかなりな羞恥のもと、それでもそのままには出来ないので言われるままに力を入れてみる。
「おかしいなぁ。」
「アンッ」
 ほぼ同時に異なる言葉を発した、そう、零が指を入れたのだ。
「んっ…や…かき回さない…で」
「やらしいなあ、陸は。」
 声が笑いを含んでいる。
「奥に何かが当たるんだけどな。」
「あっ、ダメ…ダメーッ」
 感じちゃう、もの凄く感じちゃう。
 突然、零は指を引き抜くと僕の身体をひょいと抱き上げ、ベッドの上に落とした。
 両足を肩に担ぎ上げられ、あっと言う間に零の硬くて太いものが突き入れられた。
「れい…の嘘つきっ、ああんっ」
「だって指じゃ届かないんだもん。」
 あー、だんだん零がサドになってく。やだあ。


 再び浴室。
「だからっ、自分でやる!」
 僕はちょっと不機嫌…を作ってみた。だって零のいいようにされっぱなしだからね。
「ごめん、嘘ついて。陸が可愛いからさ…」
 言い訳はいらない!
「機嫌直して…」
 あー!また?いい加減に…と、腕を払おうとしたら「心配なんだ、陸も聖も。」とやっと今日一日の不可解な行動に関して話す気になったらしい。
「二人とも一途だから、簡単に一線越えちゃうよ、きっと。そうしたら僕はどうしたらいい?夾でさえ、いまでも引き摺っているのにさ、聖への陸の愛情の深さを考えたら、陸は何度も聖とセックスするのかなぁと。なら初めから三人なら平気かなと。無理なのが分かった。聖のブログ見て嫉妬した。聖が隠し撮りのビデオ見てるのは、陸が僕の名前呼ぶとき、聖って聞こえるらしいんだ。あー、何言ってんだろ?」
 僕は黙って零を抱きしめた。
「何か、言ってよ、反論してよ。」
 幼子のような声で懇願する。
「零のばーか」
「うん。」
 何で?どうして疑う?
 たしかに一度、僕は零を裏切った。
 でも後悔してる。
 それは零だって理解してくれたじゃないか。
「別れる?」
「いやだ。」
 僕の背中に力一杯しがみつく。
「愛してるんだ。」
 零の切実な声。
「離さない。」
「離さないで。そうしたら僕も零の手をしっかり握り返すからさ。」
 なんだか夫婦の倦怠期の意味が分かってきたように思う。
 会話が、大切なんだよね?二人の会話が。
「零、愛してる。」
 抱きしめる腕に力を込めた。