僕にだって、覚悟はあるんだから
 僕と聖はテレビの前で号泣していた。
 「馬砂喜くん、上手くなったな」
と、零は言い訳のように何かしら言葉にしている。
 馬砂喜くんが主演したドラマは深夜2時から45分で放映された割には、成人指定でもなんでもなく、感動的な話だった。
 一人息子のあおいくんはパパが大好きで、パパが働きに行くのは自分の為だと理解している。中卒で最初は新聞配達やコンビニの店員などをしていたけれど、ずっと続けていけてあおいくんと一緒に居られる仕事をするには農業だと、地方へ旅立っていく話だ。
 地方活性化のドラマらしいけどそれならもっと早い時間に放送してくれたらいいのに…我が家では録画予約をして翌日に視聴した。
 ずっと二人しか映らない。だから二人の演技力が重要だ。子役の男の子がすごくいい味を出していて聖と二人で号泣していたということなのである。
「あおいくんみたいな男の子なら素直にお父さんの手伝いするんだろうなぁ…聖は別だからね。」
 危ない危ない。また拗ねられてしまうところだった。
「陸はお父さんの手伝いしなかったの?」
 ストレートな質問だな…一瞬怯んでしまったよ。
「うちはばあちゃんが家のことをやっていたから手伝いは基本的にばあちゃんに言われてやっていた。でも小学校の三年位に僕とばあちゃんが喧嘩して、パパと二人の生活が始まったんだ。その時は家のことは全部僕がやったよ。パパは何も出来ないからね。」
 ママがもしもパパと結婚していたら大変だっただろうなーと思うくらい、家のことは何も出来ない人だ。
「零くんは?」
「あきらちゃん見てたらわかるだろ?初めから使い倒す勢いで手伝いをさせられたよ。」
 うん、確かに。あれ?そうしたらパパとママ、結婚には不向きじゃないかな?だから…いやいや、空想でもパパに失礼だ、縁がないだなんて。
「涼ちゃんは早くからおじいちゃんとおばあちゃんがあちこちに転勤してたから一人暮らしが長くて家事は得意だったよ。」
 へー、意外。
「うちは夾と実紅が全然ダメだな。」
「実紅ちゃん、ダメなの?」
 パパは本当に家庭運がないのかな?
「でもさ、やっているうちに出来るようになるんだよね、家事なんて。」
 そうかなー?違う気がする。
「僕は今でもアイロン掛けが苦手だよ。」
「僕お風呂掃除!」
 僕のカミングアウトに続いて聖がここぞとばかりに手を挙げた。
「聖は苦手じゃなくて嫌いなんだろ?」
 零が冗談半分で言うとまあね、と答えた。
 世の中の専業主婦が大変か大変じゃないかと、よくネットで討論しているけど、得手不得手はあるし、小さい子供を抱えていたりしたら状況は違うから一概にどちらだとは言えないけど、実紅ちゃんを見ていると専業主婦も忙しいんだな…とは思う。不器用も手伝っていたんだな。
「聖。」
 突然、零が真面目な表情で名を呼んだ。
「もう、家のことはしなくてもいい。聖は聖のことだけやりなさい。夕飯も、僕たちが仕事の時はあきらちゃんを頼っても良いし、自炊しても良い。ただし自分の部屋は自分で掃除しなさい。いいかい?」
 聖はきょとんとして零を見つめている。
「お風呂掃除は?」
「交代でやる。」
「玄関ホールの掃除当番は?」
「う…出来るだけ僕がやる。今まで聖に家の事を頼りすぎていた、ごめん。」
 頭を下げた零を僕は思わず制止した。
「家の事は出来る人がやったらどう?共同生活なんだから。」
 僕はずっとそういう考えでやってきたから零の言うことは反対だ。
「でもさ、聖は中学生でこれから受験も控えているんだよ?聖に負担を掛けたくない。」
 まあ、一理ある。
「でも息抜きも必要だし、共同生活にはある程度の束縛も必要だよ。…それより、どうしてそんなに大事なことを一人で決めたの?」
「大事なのは聖の進路じゃないかな?」
 え?進路?
「…そうか、聖は高校受験があるんだ…忘れていたよ。自分がのんびりエスカレーター式だったから…。」
 この間中学受験で騒いだばかりなのにね。
「ちょっと待って!僕は零くんの気持ちは嬉しいけど、今まで通りでいいよ。」
 聖が慌てて僕らの話し合いに割って入った。
「それじゃあ、聖の大事な人に会う時間がないじゃないか…」
 そうか、零は聖の恋愛を優先させてあげたかったんだ…僕はなんて鈍いんだろう。バカだなぁ。
「大丈夫だって、あの人とは連絡取り合っているし、月に一回は必ず会えるから…。」
 聖は絶対に恋人の正体を明かさない。
「みかん…連れて行くの?」
 聖がびっくりしたように僕を見る。
「夜、家を空けるようなことはないから。夾ちゃんもいなくなっちゃうから頼れないしね。昼間はみかんひとりでお留守番できるよ。」
 そんなことは百も承知なのに、どうして僕はみかんのことが気になったんだろう?
「僕らが家を空けるときは呼んだらいい。」
「…うん、ありがとう。だけどあの人も家を空けられないからね。」
 そりゃあ、若い娘さんがひょいひょい家を空けたら家族からクレームがつくだろう。
「本当に?」
 しかし、零はその答えに更に突っ込んだ。
「本当に家を空けられないのか?違う理由じゃないのか?たとえば…僕らが家を空けるときは相手も都合が悪いとか…」
 零は、聖の恋人が誰だか知っている…いや、まだ誰だか確信はないけど鎌を掛けているんだ。
「なんで?」
「違うなら、いいけど…もしもそうなら相手に一言言いたい事があるんだ。聖を、泣かせないでくれって。」
 泣かすな…まるで女の子みたいじゃない…って、まさか…。
「聖…あの、さ、」
「陸、今は口を出さないでくれないかな?」
「あ、ごめんなさい。」
 零。まさか…違うよね?
「零くん。安心して。必ず二人に紹介するから。まだ会う自信がないんだって。超有名人だからね、うちは。」
「向こうの家族には会ったのか?」
「うん。」
「そうか…なら良いんだけど。」
 ほら、零の思い過ごしだよ。
「聖の彼女は引っ込み思案なんだね。」
 零に黙れって言われたのに余計な一言を言ってしまった。
「陸。僕はあの人が女とも男とも言ってないよ?二人に伝えたことは年上ってことと夜は家を空けないってことだけだよ。」
 言うと笑ってバスルームに消えた。
「零、聖の恋人って…」
「察しはついてるんだ。ただ確信がない。だから陸にも言わないよ。」
 うっ。まあ、仕方ないか。


 翌日。
 事務所に寄ると、都竹くんが一冊の雑誌を手にしていた。
「剛志さんが表紙です。」
 言いながら表紙をカッターで丁寧に外し始めた。
 暫く静観していると、表紙だけを手にしてビニールの薄いフィルムに挟んだ。
「ラミネート加工するんです、劣化しないように。」
 なるほど。
「斉木くんがやればいいのに。」
「無理ですよ。ラミネート加工の機械はアイロンみたいに熱いんです。大事な人の写真をそんな所に入れられ…るんですね、陸さんは。」
 僕はいそいそと別の雑誌を切り抜き、零の記事をラミネート加工した。
「いいねーこれ。買おうかな。」
 写真も台紙ごと加工したら楽しいかもしれない。
「聖の写真が半分くらい未整理のままなんだ。箱に放り込んであるんだけどさー。デジカメのデータも保存してあるけど年寄りはプリントされていないと納得しなくてね。」
 出来上がった零の切り抜きを手に満足していると
「その作業、僕やりましょうか?」
と、都竹くんが立候補してくれた。
「いいよ、完全にプライベートなことだし、もう聖も一人で留守番出来るからうちに泊まってもらう機会もないし…気持ちだけで十分です。」
 丁寧に辞退した。
 「あ、聖くんといえば…」
 ごそごそとラミネート加工された山を崩し始めた。
「これこれ。随分前にポスターのモデルをやってもらったときのです…僕は知らないんですけどね。これは業者さんにお願いしました。」
 流石にポスターのサイズは社内では無理だったようだ。
「うちにもあるよ、これ。可愛いよねー。」
「はい、すごく可愛いです。零さんに似せてメイクしたんですか?」
「メイクはしてないよ、髪型を同じにしただけ。」
「それだけでこんなに似たんですか?凄いなー。」
 都竹くんは感心しきりだ。
「都竹くんの家族って…ごめん。」
 都竹くんが泣きそうな顔で僕を見ていた。
「違うんです!」
 頭を左右に振りながら僕が言おうとしたことを続けた。
「陸さんが家族構成に興味を持つということは僕自身に興味を持ってくれたってことですよね?嬉しいです。」
 んー、前に斉木くんにも僕は他人に興味がなさ過ぎるというようなことを言われたなぁ。
「両親と姉が二人と弟が一人です。」
「兄弟が多いね、羨ましいよ。」
「陸さんだって三人じゃないですか。」
「まあ、ね。」
「…すみません…一緒に育ってないんですよね。」
「うん。どちらかと言えば兄弟というより実紅ちゃんの子供…って意識が強いかな?可愛いとは思うよ。でも聖の方が近いかな。」
「陸さんにとって聖くんは息子のようで弟のようで友達みたいで恋人みたいですね。」
「恋人は余計かな?」
 二人でひとしきり笑った後、
「都竹くんの兄弟ってどんな感じ?」
と、話を元に戻した。
「一番上の姉と弟は性格も顔もよく似ていてどちらかと言えば母親似です。下の姉は父親と性格がそっくりでがさつです。で、僕は…叔父、父親の弟に似ています。血の繋がりがあると言えばあるのですけど複雑です。」
 僕は素直に首を傾げた。
「なんで?叔父さん嫌いなの?」
「いや、大好きです。だけど両親に似ていないんですよ…」
 あ、そういうことね。
「例えばお父さんはお祖父さん似で叔父さんがお祖母さんに似ていて、都竹くんはお祖母さんに似たんじゃないの?」
「あ、そうか。納得。」
 簡単に納得されてしまった。
「陸さんはお父さん似ですよね、会長に後ろ姿がそっくりですよ。」
「ほんと?なんか嬉しいな。」
 パパに似ているってなかなか言われないから素直に嬉しい。
「零さんと聖くんはそっくりですよね。」
 う…
「都竹くん、聖のこと聞いてない?」
「聖くん、ですか?」
「零と聖の関係。」
「親子…ですよね?零さん陸さんのことあんなに好きなのに女の人も好きなんですね。」
「うん、まあ、ね。」
 こればかりは僕の口からは言えない…。
「あ、先輩!ラミネート加工できましたよ。」
 部屋に入って来た斉木くんに都竹くんは普通に剛志くんの切り抜きを渡した。
「別に個人的にスクラップしているんじゃなくて、資料なんだから資料室に保管すればいいだろう!」
 手渡された切り抜きは無情に斉木くんと都竹くんの間を行ったり来たりしている。
 「へー、剛志かっこいいじゃないか、」
と、奪い取ったのは零。
「聖の母親はあきらちゃんだよ。」
とついでのように都竹くんに告げた。さっきの話を聞いていたらしい。
「あきらちゃんって零さんの…」
最後までは口に出来なかったらしく視線を宙に漂わせていた。斉木くんも視線を合わせないようにかあらぬ方向に定めた。
「僕は最初から陸が好きだった。その陸に似ている母親を替わりにしただけ。」
 零は笑って言う。ねぇ零、ママはそのことを凄く悩んでいるんだよ?
「戸籍上は涼ちゃんの息子だけどね…あまり知ってる人はいないから内緒だよ?」
 零はどうして都竹くんに話したのだろう?


 今夜はラジオの放送日。準レギュラーの僕が出演する日。ちなみに僕の冠番組もあるんだけど録音なんだ。月に一回まとめて録る。
 話を戻して。
 今夜は二人で家を空けた日。零の運転で深夜の帰宅中だ。
「聖、恋人と電話でもしているのかな?」
「たぶん、二人で家に居るんじゃないかな。」
「え?」
「急いで帰る?それとも寄り道する?ホテルとか…」
「な、」
 僕は気が気でなかった。なのに零は勝手に進路をホテルへと変えていたんだ。


「零は聖が心配じゃないの?」
「心配だよ。」
「じゃあ!」
「親が心配するから、僕のこと諦めた?」
 零の目が真剣に僕を見据えた。
「ううん。」
「じゃあ、心配しても意味がない。大丈夫、聖が選んだ相手は間違っていない…だけど…それが本気かどうかが心配なんだ。」
 心配…と言いながら僕の背後に回り込み、手早く着ている物を脱がしていく辺り、手慣れているから悔しい。
「聖が今の相手に本気になってくれないと、また僕は聖を排除することを考えなくちゃいけない。それはいやなんだ。」
 零の手は僕のどこに触れたら悦ぶか、全て知っている。
「あ、や、ダメ」
「陸は僕のものだ。」
「ん…」
 僕だけが快楽に落とされる。
「聖だけには、何があっても譲れない…聖だけには、自信がないんだ。他はなんだって勝ち取る自信がある。だけど聖だけは不安なんだ。」
「ん…ん…」
「こんな弱気な僕を陸に見せたくはない。でも見て置いて欲しい。僕の弱点は陸だってことを。」
「う…あ…」
 指だけで、手のひらだけで翻弄される身体。
「身体の繋がりは取り戻せるけど、心の繋がりは取り戻せない。」
「や、ダメ」
「愛してる、」
「ん…あ…僕も…はあっ」
「想いは日々強く、深くなる。」
「やだ、ちゃんと、目、見て話して…」
 必死で思考を保とうと努力をしたけれども零の行為はエスカレートする。
「放せなくなる前に…別れた方がいいのかとも思った。でもやっぱり他の人間がさらっていくことを考えたら出来ない。」
 グイッ
と、身体を思い切り押して離れる。
「やだっ!話があるならきちんと話して!」
 零の瞳が揺れる。
 暫くして零の腕が伸びてきて僕の身体を捉えた。
 強く、強く抱き締められた。
「どうして、僕たちは同じ性をもって生まれたのだろう?誰からも祝福される結婚が出来たのなら、絶対に陸を幸せにするのに…。」
「僕は幸せだよ?」
「うん」
 零の不安な気持ちは判る。だけど後ろを見ても何もないのに。
「前を見ようよ。」
 明日を見て生きていこうよ。
 零が僕の耳元で囁く。
「陸、聖の相手は多分…」


斉木くん、相談なんだけど。
零と僕が結婚していること、みんなに話してもいいかな?
初ちゃんだけ公表して、僕たちはダメなんて変だよね?
堂々と、二人で手を繋いで歩きたいんだ。
セッティング、してくれるかな?
会見は…多分僕ひとりになると思う。
聖は守ってくれる人がいるから大丈夫。
斉木くんは、今のままでいいの?



 携帯電話が鳴った。
『陸さん!どういうことです?』
 斉木くんがいきなり叫んだ。
「どういうって、文面通りだよ。…このままだと…壊れそうなんだ、彼が。」
 隣で眠る零に聞かれてもいいように名前は伏せた。
『零さん、ですか?』
「うん。」
 背後で『零になにかあったのか?』と、剛志くんが問うているが斉木くんは無視した。
「詳しいことは後で話すよ。セッティング、頼んでも良い?」
『ダメです、みんなに相談して…』
「待てないんだ、一秒も。」
 零は、ママに似ている。全て抱え込んで壊れようとしている。
『わかりました。手配します。』
 電話は一方的に切れた。
 多分、斉木くんは今、剛志くんに話す。そして初ちゃんに伝わり、隆弘くんに連絡が行く。
 都竹くんにも連絡がいくだろう。
 再び携帯電話が鳴った。
「もしもし?」
『陸、今どこにいる?』
 剛志くんだった。
「え?今…」
『すぐに家に帰ること、いいな。俺たち今から行くから。零を叩き起こして帰るんだぞ。』
 剛志くん、なんで家にいないってわかったんだろう?
 気持ちよさそうに眠っている零を無理矢理起こしてチェックアウトをして車に押し込んだ。
「なんでそんなに急ぐの?現場を押さえるの?」
 眠そうに質問を繰り返す。
「聖のことじゃないよ。」
 あとは零がうつらうつらしていたので会話は続かなかった。
 マンションに着くと剛志くんと斉木くんが駐車場で車を停めて待っていた。
「あそこに、見覚えのあるナンバーがあるんですけど。」
 斉木くんは気付いたみたいだ。
 零を歩かせてエレベーターに乗り込み部屋までたどり着いた。
「少し、緊張する。」
 でも今は聖のことじゃなくて零のことだから、冷静に対応しなきゃね。
「ただいま。」
 時間は早朝五時。そっと玄関を開ける。
 零をベッドに寝かしつけてリビングへ向かう。
 都竹くんはリビングのソファで寝ていた。


「内容は言えません、約束ですから。」
 都竹くんは聖に相談を持ちかけられたそうだ。わざわざ僕たちがいない日を狙っているのだから内緒の話に違いない。だからあえて内容は聞かない。
 だけど、零の勘は外れたということになる。
「なあ、陸。聖くんは今、親離れをしようとしているんじゃないか?自分で考えて自分で行動している。少し様子を見てあげたらいい。公表するのはそれからでも間に合うだろう?零のことはオレに任せてくれないか?」
 剛志くんが優しく諭すように言ってくれたお陰で、僕も焦燥感はなくなっていた。
「わかった。お願いします。」
 深く頭を下げて乞う。剛志くんは早速寝室へ向かった。
「陸さん、何かあったら今日みたいに言って下さい。役に立たないかもしれないけど一生懸命考えますから。」
「うん、ありがとう。都竹くんもありがとう、聖の相談にまでのってもらって。」
「いえ、いいんです。聖くん必死だったし、可愛いし。」
「遅くなったら客間のベッド使ってよ。」
「実は二人が帰る前に帰るつもりだったんですけど睡魔に襲われたので仮眠しました。」
「都竹、それは賢明な判断だ。何かあったらACTIVEのイメージダウンにつながるからね。いつでもクリーンなイメージが大事だよ。」
 クリーンなイメージ…。
 そうか…。
 斉木くんの一言で目が覚めた。
 僕たち、とは二人ではなくACTIVEに関わってくれている人全員なんだ。
 だから剛志くんも斉木くんもすぐに飛んできてくれた。
 悩んだらみんなに相談すれば良かったんだ。
 なーんだ。



 朝。
 目が覚めたら家の中に人が沢山居て聖は大はしゃぎしている。
「なんだか修学旅行みたいだね。」
 聖は去年、修学旅行に行ってから人が沢山集まると修学旅行みたいとばかり言う。ツアー同行ではなくて家族旅行に連れて行ってあげたないといけないな。
「和食と洋食…と言っても…」
 ご飯に味噌汁に納豆と海苔か、トーストにスープとサラダでどちらにも応用が効く目玉焼きの朝ご飯。零も手伝ってくれた。
 ダイニングとリビングに分かれて賑やかに食事をして、こんな楽しい朝食もいいな…加月と野原の家の建て替え、考えてもいいかな…と少しだけ思った。