083.たまにはいいじゃん
「今日は何する?」
「睦城は布団干し。俺は洗濯。」
「了解」
 睦城は楽しそうに任務に着いた。
 そんなに広い家ではないけど、商売をしながらだと大変だ。
 それを、週5日も休むのだから、殿様商売だ。
 それでも、俺は裏方を選び睦城のために快適な生活をさせてやりたいと願う。
「侑」
 睦城が時々、チャージに来る。
 睦城が好きなだけ、キスをする。
 それで睦城の創作意欲がわくなら、お安いご用だ。
「あげる」
 思わず手を出した。
 木の箱だ。
「アクセサリーボックスなんだけど、何か大切なものがあったら入れてみて。あ、それは試作品。」
「そうなると、入れるものはひとつだな。」
 箱をテーブルに置くと、睦城を抱き上げる。
「入るかな?」
「入らないよ!」
 睦城がケタケタ笑うから、そのまま和室へ連れ込んだ。
「睦城」
 キスを落とした。
「んっ」
 畳の上に下ろすと、押し倒した。
「声、控えろよ?」
「え?」
「しよ?」
「な…んんっ」
 睦城は、抵抗しなかった。

「侑」
 俺は黙って振り返る。
「凄く…気持ち良かった」
 途端にあまりの羞恥に顔から火が出そうになった。
「それは…光栄の極み…」
 意味がわからないことを言ってしまった。
「痛み入ります」
 また、睦城がケタケタ笑う。
「愛してる」
「俺も」
「なら、いいじゃん、たまにはこんな風に欲望に任せたって。僕だってしたいときがあるしさ。」
 え?
「して欲しい時は誘ってるよ?」
 気付かなかった。
「したい時も誘うし」
 確かに。
「だから、また、しよ?」
 睦城の腕が、俺を抱き寄せた。