087.庭掃除
 庭…と呼ぶには申し訳無い程度のスペースが玄関前にある。
 ここに毎秋、枯れ葉が舞いちる。
 店とは反対側だが、やはり掃いておかないと積もってしまうので、2日に一回は掃く。
 ざっ、ざっ…と一定の心地いい音だ。
「侑」
「ん?」
 腕を解いて…と言おうとしたが、離れ難い。
 夕べも身体を繋いだ。いや、身体を繋がずにはいられない程、侑を欲している。
 愛しているなんて言葉では表しきれない。
 侑が今、居なくなったら生きていけない程、取り乱すだろう。
「おはよう」
 目の前で、まだ目蓋が開かない侑が言う。
「おはよう」
 名残惜しそうに応える。
「夕べは、物凄くエロかった。」
 そう言うと僕を抱き寄せた。
「お陰で、燃えた」
 ふふ、と笑う。
 慌てて身体を離そうとしたが、離してくれない。
「意地悪だ」
「どうして?睦城が俺を受け入れてくれるんだから、燃えない?」
 それは、そうだけど。
「言わなくても、いいじゃん」
 諦めて顔を胸に埋めた。
「今日は、店開く日だろ?庭を掃いてくる。」
「了解。朝飯作ってくる。」
 やっと、解放される。

 今朝は、落ち葉が多い。
 本格的に冬が近付いている。
 抱き合って眠っても、汗をかかずに済むな…なんて考えてしまい、また顔が熱くなる。
 身体の奥に、侑の気配を追う。
 深く、浅く、深く、浅く、僕を追い詰める。
 ヤバい、また欲しくなる。
 落ち葉を纏めて、掘った穴に埋める。
 急いで屋内に駆け込み、侑の顔を見て落ち着かせた。
「睦城、なに考えてた?顔がエ…」
「言わないで!わかってるから!」
 神様はどうして性交に快楽を与えたのだろう?
 気持ちいいことは何度もしたくなる、して欲しくなる。
「睦城」
 侑に呼ばれ、振り替えると抱き寄せられ、唇を奪われた。
 気持ちいい。
 下半身に血液が集まる。
「今日は、外出禁止。」
 釘を刺された。
「さてと。朝飯、食おう。」
 さらりと、侑が流してくれた。
「今夜はご馳走みたいだからな、一日頑張ろう。」
 僕の顔が、一気に熱くなった。
 きっと、真っ赤になっているだろう。
 でも、否定はしない。