雅之&克巳シリーズ
=雪= 『二人』

「やだっ!」
 ・・・スキーなんて出来ないから、そう言ったのに。
「教えてやるよ」
って、瞳をハート型にして・・・言うなよな。
 そりぁ・・・二人で旅行したいっていうのが最大の目的なんだろうけど・・・
まだ、恥ずかしいから。まともにあいつの顔見られないから。
 2日半、二人っきりでいられるのはうれしいけどね。

 出発前夜、あいつは自分の荷物を家に送りつけてきた。
 現地に送れば良いのに。
 そして本人も着いて来た。僕の荷造りをしに。
「逃げられないように」
って言われて、信用無いなァッて、思って。

 ―ムギュ―
「痛いっ」
 耳を引っ張られた。
「もっと楽しそうな顔、しろよな。」
―でなきゃここで押し倒すッ―と耳打ちされて赤面した。
 まさか・・・夜行列車の中で?皆が寝ている中で?
「いいんだ、スキーなんかしなくても。
 二人で雪が見たかったんだ、あの白銀の世界を。」
・・・って確かそう言ったよな・・・
 誰だよ、無理矢理スキー板はかせて一番上までリフトで連れてって突き落とした奴は?!
 夜は夜で腰立たなくなるまで・・・月曜日会社行けないんだから・・・一緒には休めないぞ。